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2013アイソン彗星撮影方法 撮影テクニック2
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アイソン彗星は2012年9月に発見され、世紀の大彗星となる可能性があることが判明してからというもの、観測条件のよい北半球を中心とした世界中の天文ファン、研究者らが熱い期待を持ってその動向を見守っています。2012年5月、日本中を沸かせた「金環日食」。それに勝るともおとらぬ一大天文イベントとなりそうなのが、2013年11月28日(世界時)に太陽に最接近する「アイソン彗星(C/2012 S1)」です。
アイソン彗星は史上最大級の大彗星と言われているのに、残念ながらまだそれほど過熱感はありません。それは多分明るさや姿がどのように変化するのかについて非常に予想が難しいため、結果期待していたほどでもなかったといった可能性もあり、メディアなどに取り上げられる回数が少ないからだと思います。
しかし世紀の大彗星となる可能性のアイソン彗星を写真が趣味の私が撮影しないのは大変にもったいない話です。また、アイソン彗星を撮影しようと考えていらっしゃる方もたくさんいると思います。そこで、以前私が流星の撮影で経験したことを参考にすれば彗星の撮影にも役立つのではないかと考え、これから撮影方法をお話させていただきますので、アイソン彗星の撮影に少しでもお役に立てれば幸いです。
【用意するもの】 一眼レフカメラ(ミラーレスカメラ)、レリーズ、三脚、懐中電灯など
【撮影方法】すでに現在の時点でもアイソン彗星は出現しているようですが、上述の通り11月28日から12月上旬がいいような感じです。
流星もそうなのですが、カメラはマニュアルで設定するのがいいと思いますので、マニュアル付きのカメラを用意してください。
それでは参考写真として2010年11月18日の「しし座流星群」と2012年12月13日の「ふたご座流星群」の2枚をデーターを付けて見ていきましょう。
まずは2010年11月18日の「しし座流星群」です
絞り:F2.8 シャッタースピード10秒 ISO1600 レンズ焦点距離16mm
機材(カメラ:キヤノンEOS5DMarkⅡ レンズ:EF16-35f/2.8USM)
天候:はれ
月の条件:満月前で大きな月明かりの影響を受ける
場所:街や工場の灯りの影響を受けない山
続いて2012年12月13日の「ふたご座流星群」
絞り:F2.8 シャッタースピード30秒 ISO3200 レンズ焦点距離16mm
機材(カメラ:キヤノンEOS5DMarkⅡ レンズ:EF16-35f/2.8USM)
天候:はれ
月の条件:新月で月明かりが邪魔にならず
場所:街や工場の灯りの影響を受けない海岸
では見ていきましょう。2枚の写真は年度こそ違いますが11月と12月の写真ですから、今とほとんど変わらない寒さが深まり、空の透明度が高いといってもいい状況です。データーのところに赤字で書いていますが、2枚の写真の撮影方法はシャッタースピードとISOが違っています。この違いは何によって変えたのかということですが、それは月明かりによって変えています。つまり、月明かりの影響を多く受けた上の写真「しし座流星群」はシャッタースピードが10秒と下の写真の「ふたご座流星群」の30秒に比べ20秒短くなっています。
また感度も上の写真「しし座流星群」はISO1600ですが、下の写真「ふたご座流星群」はISO3200とより高感度になっています。要は月明かりの影響を受けて空が明るい場合はシャッタースピードを短くし感度もISO1600で大丈夫だったということです。
以上のことから11月末から12月初旬に「アイソン彗星」を撮影するとした場合のカメラの設定を考えてみましょう。はっきりしていることは月明かりです。これは月齢によってデーターがすでにわかっています。11月28日だと月齢は24.6で満月のときの約1/4といったところでしょうか。もう少し日が進んで12月3日になると新月にあたりますので、2枚目の「ふたご座流星群」と同じで、月明かりが邪魔にならないという条件になります。したがって11月28日ではシャッタースピードは2秒から15秒、ISOは1600あたりでいいでしょう。12月3日ならシャッタースピードが10秒から20秒、ISOは1600から3200でいいと思います(先ほどの流星の2枚の写真を撮影したカメラ本体とレンズを使用したと仮定した場合)。
次に撮影場所で考えてみましょう。2枚の写真は流星を撮影するために街や工場の明かりを避けてより暗い場所を求めて山や海に出向いています。「アイソン彗星」を撮影する場合にもより暗いほうが撮影にはいいですが、都会に住んでいる人にとって山や海に行くのは簡単ではありません。街の灯りや工場の灯りを受ける場所に住んでいる方は、シャッタースピードを短くしたり、ISOを下げて対応する必要があります。
まとめてみると、
.レンズの絞り(F値):開放(数値が最小)
.ISO感度:800~1600(3200)
.露出時間(シャッター速度):空の明るい市街地では2~10秒、空の暗い場所では10~30秒程度
が目安といったところでしょうか。注意したいのは、「アイソン彗星」はすでに見えていますが、「流星」は見えていないものを写すという違いがあります。したがってもう少しシャッタースピードを短くしても大丈夫でしょう。
おさらいの意味を込めて書きますが、撮影するにはカメラをしっかり三脚に固定し、ピントはオートフォーカスは効きにくいので、マニュアルにセットし明るめの星にピントを合わせライブビュー画面でしっかり確認しておきましょう。そしてシャッターぶれを防ぐためレリーズを使って撮影されることをお勧めします。試しに何枚か撮影しうまく撮影できていればカメラのタイマー機能やリモートコントローラなどを活用しましょう。
流星はどこからやってくるのがわからないので、空を広く写すことにより流星を写せる確率を高くするため、星空ばかりの写真になってしまいがちです。「アイソン彗星」の場合も「アイソン彗星」だけを撮ってもいいのですが、流星と違ってあらかじめ出現しているわけですから、何と一緒に撮るかによってずいぶん写真自体が違ってきます。例えば五重塔とか明石海峡大橋などと一緒に「アイソン彗星」を撮影できればいい写真が撮れると思います。皆さんのお近くの場所や行動できる範囲の中で何か「アイソン彗星」に合うものを探してみてください。きっと素晴らしい写真ができ上がると思いますよ。
実際には天候や明るさカメラの性質やレンズの種類によって設定は異なってきますので、あくまで参考程度にお考えいただき、ご自分で一番いい設定をお探しの上撮影していただきますようお願いいたします。