「北斗星」廃止の報道を受けて

 2016年春の北海道新幹線開業に伴い、JR東日本とJR北海道は、寝台特急「北斗星」(上野―札幌)を2015年度中に廃止する方針を固めたというニュースがありました。北海道にも新幹線が開通しますから仕方がないことだとは思っていましたが、正直なところ寂しい気持ちでいっぱいですね。時代に沿ったスピード化というのは避けられないことだと思うのですが、時間をかけてゆっくり景色を見ながら旅をするというものが、スピード化によって本当の移動だけになってしまうのではないか?風情を楽しむという鉄道ならではの楽しみが減ってしまう寂しさも多々ありますね。

 2014年12月5日の読売新聞の記事から
 <2016年春の北海道新幹線開業に伴い、JR東日本とJR北海道は、寝台特急「北斗星」(上野―札幌)を15年度中に廃止する方針を固めた。新幹線の試験運行が行われるほか、車体の老朽化などが進んでいるためだ。近く発表する。
 北斗星の廃止によって、鉄道旅行の象徴的な存在だった青い客車の特急「ブルートレイン」は姿を消す。
 北斗星は1988年、青函トンネルを使って初めて上野―札幌間を結んだ。豪華な寝台個室や、フランス料理のフルコースが味わえる食堂車などが人気を集めた。
 JR西日本も、大阪―札幌間を結ぶ寝台特急「トワイライトエクスプレス」の運行を15年春に終了する。>

 昨年、今年と真冬の北海道を旅してきました。お目当ての一つに当然この北斗星を見て写真を撮るということも含まれていたのですが、このまま行くと今シーズンが最後の見納めになる可能性が大きいです。今年行けるかどうかはわかりませんが、なんとか仕事のやりくりをつけて北の大地に旅立たないといけませんね。

 個人的には上野から札幌までを北斗星に乗って北海道へ行きたいのですが、それは住んでいる場所などから考えて到底無理でしょうから、貯まっているマイルを使って札幌駅で待ち構えるというスタイルになるだろうと思います。トワイライトエクスプレスも終わることが決まっていますので、寝台列車というものが過去のものになってしまいそうです。

 私は一度だけブルートレインに乗ったことがあります。もう20年以上も前になる昔々のことになりますが、旅行で九州の鹿児島に行った帰りに乗りました。残念ながら列車の名前は忘れてしまいましたが、人生で一度きりのブルートレインに乗った感想はとなると、正直なところ乗り心地は良くないしうるさいので殆ど寝れなかったという記憶だけが残っています。しかし途中の熊本駅で10分かもう少し長い時間停車したのですが(これは運行通りで決してトラブルがあったわけではありません)、この間を利用して熊本駅を途中下車し一旦改札を出て夕食のお寿司を10名分買った事があります。勿論、事前に予約をしていたわけではないですし、そのお寿司屋さんの名前や場所を知っていて暖簾をくぐったわけでもありません。何も知らずに仲間のためにただただお店の看板というか雰囲気だけで門を叩いたわけです。
 今考えるとお寿司屋さんの大将らしき人に、〇〇分後に熊本駅を発車する〇〇号に乗らないといけません。今、途中下車してお寿司を買いに来ましたが、なんとか作っていただけないでしょうか?といったようなお願いをしたと思います。大将らしき人も何とか頑張って作ります!と言ったようなやりとりでお寿司を買って列車に戻ったという思い出があります。

 お寿司を握ってもらっている間、私は腕時計を見ながら刻一刻と迫ってくる発車時刻に間に合うか?なんとか作って!頑張って大将!といったような気持ちでいっぱいでしたが、無事にお寿司を仲間のところまで持って行くことができ、みんなでビールを飲みながらブルートレインに揺られていたという旅ならではの出来事があります。
 スピード化もいいのですが、このような熊本駅での出来事は新幹線でサーッと行ってしまえば恐らく体験することはないでしょう。
 そういえばヨーロッパに旅した時の添乗員さんが言ってましたが、トラベルはトラブルから来た言葉だと言われていました。幸い熊本駅ではトラブルにならずに私は無事ブルートレインに乗ってみんなでお寿司を食べることが出来ましたが、こういうことも旅の一つの出来事としていい思い出になります。スピード化よりもゆっくりと行く先々を楽しみながら旅をするのがやっぱり私は好きですね。

 新幹線もいいけどスピード化による移動だけになってしまうということが、旅を本来の楽しさから少なくさせているような気がしてなりません。

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